一般社団法人スポーツ・コンプライアンス教育振興機構

連載コラム

2022.05.11

♯10「プーチンと講道館」

 ロシアのウクライナ侵攻が長く続いています。 一般市民、子どもたち、女性、高齢者など悲痛な叫びが日々伝えられています。
 ロシアと言えば、小説『戦争と平和』を書いた文豪トルストイ、バレエ音楽『白鳥の湖』などを作曲したチャイコフスキー、『罪と罰』などを書いた作家ドストエフスキーなど偉大な芸術家、作家を多く輩出し、今も世界中の人々の心の平和と深い思索に大いに貢献しています。
 その国の指導者であるプーチン大統領の判断と行為には、当然ながら、人間として許されないというごく自然な怒りと哀しみが世界から湧き上がっているのですが、未だ事態の解決に至りません。
 プーチン大統領は、日本の柔道を愛し、十代で始め、段位を持つ黒帯で、講道館(東京都文京区)にも訪れています。
 その講道館は、1882(明治15)年教育者であり、柔道家でもあった「柔道の父」嘉納治五郎(1938年、77才、太平洋上 氷川丸の船中で没)が創設し、柔道の総本山とされています。治五郎の教育思想の柱は「精力善用」と「自他共栄」の二つです。「精力善用」は、柔道(スポーツと置き換えても良い)で鍛えた心とからだを世の中の発展のために生かし、社会に尽くすこと。「自他共栄」は、「相助相譲」が前に付けられ、お互いに助け、譲り合いつつ自分や他者、そして社会の繁栄を目指すことを意味しています。
 一言でまとめれば「スポーツを通じて心身を磨き鍛え、社会に尽くす」ことでしょう。
 私が顧問を務める一般社団法人少林寺拳法連盟(香川県多度津町開祖/宗 道臣、1980年69才没)が進めている最も大切な教えも、「半ばは自己の幸せを、半ばは他人の幸せを」です。柔道の「自他共栄」と相通ずるものがあります。
 プーチン大統領は、2005年11月、当時東海大学教授であった全柔連の山下泰裕会長(現JOC会長)から治五郎の自筆の書「自他共栄」の額を受け取っていることが知られています。かつて「自分は柔道に助けられた」などの発言もあり、柔道への愛を公言していたプーチン大統領。「自他共栄」の書は、今どこに行ってしまったのでしょうか?

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 みんなが守らなくてはならないきまり

 一、人をきずつけない。
 一、人の物をぬすまない。
 一、うそを言わない。
 一、弱いものいじめをしない。
 一、ひきょうなことをしない。

 『わたしたちの道徳 小学校3・4年(文部科学省)4.みんなと関わって(社会のきまりを守って)』より
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執筆:武藤芳照

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